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　タイの洪水で日系企業が生産を停止してから約１カ月が経過した。
工場が直接浸水した企業はいまだ再開のめどが立たない一方、部品不足から生産停止を余儀なくされた企業は代替部品調達のめどが立ち始め、既に一部で生産を再開。
工場の立地で明暗が分かれた格好となった。

　タイ中部アユタヤ県のロジャナ工業団地に四輪車の生産工場を持つホンダは、工場が浸水して１０月４日に生産を停止。
別の場所にある二輪車工場も部品不足の影響で同１１日から生産を停止した。
一時２メートル超に達した四輪車工場の水は徐々に引きつつあるが、「下期はほとんど稼働できない」（池史彦専務）状況という。
また、サプライチェーン（部品供給網）が寸断された影響で、世界１６カ国の工場のうち中国を除く大半の国や地域で減産を強いられた。

　ホンダは１４日にタイの二輪車工場の一部モデルで生産を再開。
減産中の米国工場も１２月１、２日は正常化するが、タイの四輪車工場の再開のめどが立たない中、影響はしばらく続くとみられる。

　一方、工場が直接被害を受けなかった日産自動車とマツダ、三菱自動車は、「ダイバーを雇い、浸水した部品工場から金型を取り出した」
（日産の志賀俊之最高執行責任者）などの努力もあり、生産停止からほぼ１カ月後の１４日に一部車種で生産を再開。
トヨタ自動車も２１日に一部生産を再開する予定だ。

　トヨタはタイから輸入している電子部品などの調達が滞った影響で、国内や北米など９カ国で減産を強いられたが、順次、通常の稼働に戻し、
年明けには全世界でほぼ正常化する見通しだ。

　電機メーカーも、東芝が生産を停止した現地の１０拠点のうち、浸水を免れた家電工場１カ所を７日に再開するなど、復旧の動きが出てきた。
東芝は、来年１月上旬までに米半導体大手へ売却する予定だったマレーシアの子会社の譲渡を延期し、代替生産を加速させる。
ソニーも来月にはデジカメの代替生産を国内外で始める予定だ。
ただ、ニコンのデジカメ工場の再開は来年１月、全面稼働は同３月になる見通しで、年末商戦に一定の影響が出る可能性もある。【米川直己、柳原美砂子】